#エフェクターToneBender MK1

シミュレーションでお勉強:9Vアルカリ電池とマンガン電池で音は違うのか?


よく、Fuzz系の有識者の方々は、9Vのアルカリ電池とマンガン電池で音が違う。マンガン電池がオススメということを言われていることを目にしたり耳にします。

マンガン電池業界wではエレハモのマイクマシューズさん謹製のマンガン電池が本来のペダルの音を出すことが出来るバッテリとして話題になりましたね。

これは事実なのでしょうか?それとも良くオーディオ界で言われるオカルト(^^あるいはプラシーボということなのでしょうか?

面白そうなのでシミュレーションで確認してみました。

バッテリのスペック情報を得る

欧州のPanasonicで、006P型アルカリ電池のスペックが公開されていました。→こちら

そして9Vバッテリのスペック表はこちら

ここで注目なのは、Average impedance :平均インピーダンス 約2.3Ω @ 1kHzという項目です。

これは交流での抵抗値なのですが、バッテリの内部抵抗に起因するものと思われます。

そして、更に、アルカリ電池とマンガン電池の内部抵抗の違いを探してみるとこちらの記事に到達しました。

Batteries have internal resistance because the elements that make it up aren’t perfect conductors. The electrodes and electrolytes aren’t 100% conductive. So they will have some resistance (internal resistance) in them.

Via:Learning about Electronics
Battery Internal Resistance
  • 9-V zinc carbon (マンガン電池) 内部抵抗 35Ω
  • 9-V alkaline(アルカリ電池) 内部抵抗1~2Ω

ということで、前のPanasonicのバッテリのインピーダンス2.3Ωに近い値となっていました。

シュミレータの電源に内部抵抗値を反映させる

今回はそのまんまバッテリのコンポーネントを使ってシミュレーションしてみます。

バッテリの内部抵抗として、Series Resistance を抵抗値Ωで入力することが出来ます。

上の結果から、バッテリの内部抵抗を。 ほぼ0Ω、2Ω、35Ωの3つのケースでシミュレーションしてみます。

FuzzFaceでアルカリ電池とマンガン電池のシミュレーションはどのような違いになるのか?

まずはFuzzFaceの回路から

その波形シミュレーション結果は以下の通り。

赤が0Ω、青が2.3Ω(重なっていますが)、黄色が35Ωの場合です。(肝心な結果が黄色で見難くなってごめんなさいm(_._)m)

結果的には、+側が240mV→260mV程度、マイナス側が200mV→220mVと振れ幅が大きく、つまり電圧にして10%程度音量が増えていることになりますね。

ただ、これを判断するには、2つのバッテリが同じ電圧値で出力されていることが前提ですが、もしかしたら新品同士ではマンガン電池の方がちょっとだけ音量が大きい→力強い と感じる場合もあるかもしれません。

ToneBender MK1でアルカリ電池とマンガン電池のシミュレーションはどのような違いになるのか?

回路はこんな感じです。

同じように、電池の内部抵抗を0Ω、2.3Ω、35Ωで波形を出してみました。

一見、あまり違が無い、、、、という波形ですが、下側を拡大してみるとこのような違いになります。

黄色は35Ωのマンガン電池相当となりますが、変形していますね。

FFT(周波数分析してみます)

赤が0Ω、青が2.3Ωでアルカリ電池相当、黄色が35Ωでマンガン電池相当の波形です。

これを見る限り、同じ電圧だとしても電池の内部抵抗によって、出て来る音に違いが感じられるのは間違い無いかと思います。

電池の内部抵抗が高くなる要因は消耗による電圧降下

で、更に電池の内部抵抗は放電すると内部抵抗が上昇する、つまり、バッテリが消耗すると増加するということです。

同一負荷で一定の電流を流しているにもかかわらず、負荷の電圧が減っていくことを電気等価的な表現として「電池内部抵抗の増加」という考え方をします。

Via:LASRON-G 内部抵抗とは何ですか?

ですので、実際に使っている状態の電池は更に内部抵抗値が高くなっていることが予測できます。

また、アルカリ電池は電圧が保たれ最後に急激に電圧低下するのに対し、マンガン電池は徐々に消耗と共に内部抵抗がリニアに上昇する特性のようなので、マンガン電池の方が内部抵抗の増加が顕著になると思われます。

ToneBender Mk1で消耗したマンガン電池を使うとどうなるのか

電池の電圧を7Vで、内部抵抗を100Ωでシミュレーションすると以下のようになりました。

波形のマイナス側の変形がより顕著になりましたね。

FFTして見ると以下の通り。

明らかに波形が変わりましたね。

2次倍音、4次倍音が明確に現れています。つまりマンガン電池が新品では奇数次倍音が多くちょっとトゲトゲしいサウンドから、その後消耗すると、よりオーガニックなサウンドになることが予測されます。

内部抵抗があると回路の動作はどうなるのか?

ついでに、もう少し詳細を見て見ることにします。
電圧ラインの波形を見てみます。

9Vで、0Ω(赤)、2.3Ω(青)、35Ω(黃)でこのように電圧が変動しています。

電源側のインピーダンス(抵抗)値が高くなるとトランジスタに供給する電圧が変動するということですね。
35Ωの内部抵抗では0.1V変化していますね。

更に7Vに消耗して内部抵抗が100Ωになったと仮定した場合の結果はこちら。

もう0.7Vも変化していますね。

これは3個のトランジスタの位相が逆転していることから電圧に複雑な干渉が発生しているものと思われます。

まとめ

  • Fuzzで9Vアルカリ電池とマンガン電池で音が違って来るのはオカルトでは無い(筈www)
  • マンガン電池は消耗しやすいので更に音が変わって来る。

また、ACアダプタを使うとその電源インピーダンスは異なりますので、音が異なることも予測可能です。
アダプタ毎に回路が異なるので音が異なることも説明可能だと思います。
一般的に電圧可変が出来るアダプタの音の違いが議論されているようですが、シミュレーションする限りはインピーダンス値の影響も大きいようですね。

ちなみにBOSSのペダルは内部にトランジスタによる定電圧回路が使われているものがありますが、これはノイズの減少と共に電源の違いによる音の変化も防ぐ効果もあると思います。

いかがでしょうか?バッテリの違いを実際の耳で確認出来ているギタリストは尊敬したくなりました(^o^)

さすがデジマート様ではちゃっかり実験されていますね!

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