みんな大好きVAMURAM Jan Ray をシミュレーションしてみた 後編編(カマボコ大好き!)
前回の記事ではLTSpiceでのシミュレーションでJan Rayがオーバードライブとしてどのように歪みを作っているのかを調べてみました。
でJan Rayは歪みよりも、クリーンからクランチのブースターとして使われることが多いということもあり、あの気持ちの良いブーストサウンドは何?ということで周波数特性をシミュレーションしてみました。
全ツマミをフラット
このセッティングでは1KHzあたりをブーストし5KHz以上を、減衰させているという特性のようです。
トレブルを全開に
3KHzあたりをブーストするようで、フラット時の1KHzあたりのブーストに加え、少し高域側に山が移動していますね。で5KHz以上は急激に減衰するのはそのままですので、Over Driveに基本の所謂カマボコ型のイコライジングというとですね。
前の記事ではトレブルを上げると非対称クリッピングを始めるという結果だったので、ちょうど2次倍音、3次倍音あたりをブーストする周波数特性になります。
このように、ちょいと歪ませて倍音を発生させると共に1KHzから3KHzあたりをブーストするのが気持ち良いオーバードライブサウンドの秘訣のようですね。
トレブルを0に
トレブルツマミを0にすると3KHzあたりが沈んでいるように見えますが、1KHzあたりのブーストが残っていますので、籠った音では無くやや重心が下がった中音域が豊かなサウンドになると考えられます。
ベースを全開に
300Hz〜500Hzがものすごく(^^ブーストされています。
これはギターの低音弦の基音あたりですね。
ネットに上がっているレビューでJan Rayの低音ブーストがすごい、というのがシミュレーション上でも判りますね。
ベースを0に
ベースツマミは上げる方向に敏感なようですが、下げる方向は穏やかな感じですね。
ゼロにでもいい感じでマイルドに低音側がカットされた感じだと思います。
トレブルとベース両方全開に
かなりフラットになっていますがそれでもカマボコ型です。
これで判るのはJan Rayではトレブルとベースの両側に山があるようなドンシャリのイコライジングは出来ないということですね。
どんなトーンセッティングしても常にかまぼこ型のイコライジングです。
トレブルとベース両方ゼロに
両方ゼロにしても中音だけ強調するようなイコライジングはできません、逆にマイルドなかまぼこ型のイコライジングです。
まとめ
VEMURAM Jan Rayのトーン回路の特徴はどんなセッティングをしてもカマボコ型のイコライジンの中で調整しているというのが判りました。
おそらくトレブルが音作りの基本となり中高域の押し出しと、倍音をコントロールすることになると思います。
ベースはセンターを中心にやや上げから始まってカットする方向に調整するという感じでしょうか?(シミュレーション上ではですけどw)
で、いずれもしても結果的にはまぁまぁの音量をブースト量するということです。
この周波数特性を頭の中にいれて、ネットにアップされている動画を見ると、ある意味ブラシーボー効果がちょっと少なくなる感じもします。
おそらくONにすると音が太くなった、という感じだと思いますが、これは1KHzあたりを中心にかなりブーストしているからだと思います。
またJan Rayは高音が耳障りでは無いという言い方がされますが、現実的には5KHz以上がカットされ、その代わりに心地よい倍音が付加されることで、高域のニュアンスを出ていると思います。
このようにオーバードライブの基本である1KHz〜3KHzを中心にブーストすることで人間が感じる音量間はそれほどアップしないでアンプ側に耳障りな歪みを発生させないでプッシュできることになるかと思います。
ちなみに、シミュレーションで周波数特性を出したのですが、ですが、あくまでも単一周波数のレスポンスですので、歪み系エフェクタの場合実際は歪みによる高域の倍音が付加されますので聴感上はハイが必ず乗るサウンドになると思います。
よって高域をカットするのは基本回路ということですね。
また、実際はエフェクターの出す音を聞いているのではなく、アンプから出る音を聞きますので、特に入力する音量(エフェクタがプッシュしている)に対するアンプの挙動の影響がかなりあると思います。