HeathKit

HeathKit TA-28 Distortion Boosterの回路図を眺めてみる


いきすぎたDIYさん(@ikisugita_DIY)にお借りしているHeathKit TA-28をスタジオで弾いてみると、その意外な音の良さにびっくりしてしまいましたw

なので、今回はTA-28の回路図を眺めて事前調査してみることにしました。

HeathKit TA-28の回路の特徴

こちらが、DIYStompBOXのサイトからお借りしました、HeathKit TA-28 Distortion Boosterの回路図です。

特徴的には

  • NPNとPNPのシリコントランジスタのシリーズ接続の増幅回路に、パッシブトーン回路を付けたとてもシンプルな回路。
  • 1.5V駆動
  • FuzzFaceのようなゲイン調整は無く、入力側のボリュームによって歪み量を調整する。
  • エフェクト音の音量を調節するボリュームポットが無い。

ということでめちゃめちゃシンプルなのに、他のギター用エフェクターの回路と比較するとかなり独特の構成になっていますね。

HeathKitの回路はどのように歪ませているのか?

のサイトの解説によれば、通常2つのトランジスタをシリーズ接続した構成はダーリトンと呼ばれているらしいのですが、HeathKitの回路ではNPNとPNPトランジスタを組み合わせたインバーテッドダーリトンとかSziklai (シクライ)ペア回路に類似するという説明を発見しました。

The Heathkit TA-28 “Fuzz Booster” is made from a badly biased Complimentary Feedback or Sziklai Pair, followed by a passive filter/attenuator section.

Via:davidmorrin.com

厳密にはQ1とQ2の間に抵抗がありますので純粋なダーリトントランジスタとして動作しているわけでは無いとは思いますが、2つのトランジスタをペアとして動作させることで非常に大きい電流増幅率が得られる回路のようです。

加えてPNPトランジスタによるSziklai(っぽい)回路の特徴は、トランジスタのベースとエミッタ間の電圧を低く抑えることが出来ることのようです。
つまり、低電圧でも動作しやすいという特徴を利用しているように思えます(間違っていたら申し訳ありません)

よって、HeathKit TA-28は、回路的には非常に高い電流増幅率で動作する回路なのですが、1.5V電圧となっていることで、容易にクリッピング動作してしまうディストーション回路を実現したということになると思います。

ちなみにMaestro Fuzz-Toneも1.5V電池で動作しますが、こちらはゲルマニウムトランジスタそのものが低電圧でも動作するという特性を利用して、3段で増幅を行うという考え方と少々違うようです。

1.5Vの電圧で大丈夫なのか?

この1.5Vの電圧ですが、ギターの出力は200mVとか最大で数百mVと言われていますので、±としてもまぁギリ出力電圧としては合格の範囲になると思います。(但し音量のブーストは難しいとは思います)

またMXR Distortion+など初期のハードクリッピングディスーション回路ではシリコンダイオードによるクリッピングを行なったまま出力しています。
シリコンダイオードのクリッピング電圧は0.6Vなどと言われていますので、計算上は最大でも±0.6V つまり1.2V以下の出力電圧になります。

で、HeathKit TA-28は電子回路キットとしてより、おそらく006P 9V電池よりも一般的に流通していた単三電池1本というローコストで作り易い回路を実現してたということだと思います。

ただ、現代は006P 9V電池はエフェクター用バッテリーとして楽に購入することができます。
更に、9VのACアダプタが使われますので1.5Vの電圧は流石に使い難いですね。

また1.5VではLEDを点灯できないのでON/OFFインジケーターを付けることが出来ないという欠点もあります。

なので、実はHeathKit TA-28を9V駆動したらどうなるのか?という実験も行いました。

このように回路定数を変えることで一応動作することは確認できたのですが、まぁ、この回路はやはり1.5Vで動作するのが醍醐味のようですので、まずはオリジナルと同じ1.5Vの回路をクローンしてみたくなりました。

HeathKit TA-28の音はチープでショボい?

前の記事でも書きましたがHeathKit TA-28の一般的なレビューではショボい歪み音、更に、音量が小さいという評価です。

しかし、ペダルをお借りした 、いきすぎたDIY( @ikisugita_DIY )さんのブログ記事では音量は問題なく、使える守備範囲の広い音が出るペダルという逆の評価となっています。

ギターのボリュームを絞ってクランチにしたり、ソロでフルボリュームで太く弾けたり、ブチブチにも、BIGMUFFみたいなヘビーな音も、TONE BENDER MK3のマイブラみたいな音にもなります~♪かなりの守備力です!

Via:いきすぎたDIY 動画up【レア70年代Fuzz 】HEATHKITゲットしました(かなりの守備力です)

その秘密はこちらの記事に書かれています。

先日ゲットしたヒースキットFuzzですが~
僕の大丈夫ですが、 デジマート地下実験室の室長の井戸沼さんのは音がめちゃ小さいみたいで調べてみました♪

Via: いきすぎたDIY – 動画あり【レア70年代Fuzz 】HEATHKIT音を大きく改造(かなりの守備力です)

音量については、オリジナルから抵抗値を調整することで改善されるようですが、そもそもボリュームポットがつけられていないことから、リード時にONしてぐっと前に出す(音量を大きくする)という使い方では無かったのかもしれませんね。

また、当時のエレキギターのピックアップがあまり大出力なものが無かったというのも要因としてあるかもしれません。

ただ、音量的にはなんとか使えるレベルになったとしても、いきすぎたDIYさん以外の個体は、歪み音が物足りない感じなのはどうなんでしょうか?

それを解明する為に次回はシミュレーションにもかけてみたいと思います。





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