定番ワウペダルVox V847の回路をシミュレーションしてみた
Fuzzの自作などしているとワウペダルとの併用問題を考慮する必要を感じています。
でワウペダルの代表機種 と言えばVox V847とJim Dunlop CryBabyだとおもいますが、 まずはV847をLtspiceで回路シミュレーションしてみることにしました。
Wah-wahペダルの歴史を調べる
まずはワウペダルの超要約歴史をWikiPediaで調べてみました。
A wah-wah pedal (or simply wah pedal) is a type of electric guitar effects pedal that alters the tone and frequencies of the guitar signal to create a distinctive sound, mimicking the human voice saying the onomatopoeicname “wah-wah”.
Via:Wikipedia – Wah-wah pedal
- 最初のワウペダルは1966年に Voxと同じ親会社であったらWarwick Electronicsから生まれた。
- 誕生のきっかけは偶然の出来事で、アンプのミッドレンジブースト回路をトランジスタに置き換える設計している時にその可変効果に気がつき、オルガン用のボリュームペダルを接続して生まれた。
- ワウペダルの特許は1967年に提出され1970年に取得。
- イタリア製のVox v846に対して米国向けには独自ブランドにするためにCry Babyのモデルが生まれたが、その商標権を取得することに失敗したことで数多くのコピーモデルが市場に溢れた。
- ワウペダルを最初期に使用した最も有名なミュージシャンはエリック・クラプトンとジミ・ヘンドリックスでどちらも1967年にワウペダルを用いて録音した楽曲をリリース。
このワウペダル誕生以前にも同様の電子回路は存在していたようですがギター用のワウペダルとしてVox社の商品として生まれ、当時のFuzzペダルと共にジミヘンを始めとした多くのギタリストの定番ペダルになったということですね。
Vox V847をシミュレーション
ということで、ネットでVox V847の回路を調べてLTspiceに落としたのがこちら。
この時点で色々試していまして、上のVox V847回路図に記載されている抵抗やコンデンサの連番がかなり大きくなっています。ごめんなさい(^^
まずは上の回路図ではギターのピックアップやケーブルは考慮しないでシミュレーションした結果がこちら。
ペダルを踏んで可変させた時の変化をプロットしています。
基本的に200Hz以下がカット、そしてワウペダルを踏むことで350Hzから1.1Khzあたりを15dbブーストのバンドパスフィルターとして移動させているという感じですね。
次に、ギターのシングルコイルピックアップ、ボリュームは8、トーンは10に設定、そしてV847の前後に3mのケーブルの回路を考慮してアンプに入力するという想定でシミュレーションしてみました。
ピックアップとケーブルも考慮してみた
赤い線がギター&ケーブル&アンプを考慮した特性となります。
両方ともペダルを踏んで可変させた時の変化をプロットしています。
赤い線の方が少し出力が低いのはギターのボリュームを8にすることを想定ているからです。
結果ギターピックアップとケーブルのインピーダンスを加えた結果5Khzからの高域が落ちているようです。
ここからのシミュレーションは、引き続きギターのボリューム8で進めます。
V847の波形とFFT(周波数分布)シミュレーション
440Hzの信号を入力し、ペダルを変化させた時の波形です。
音源が正弦波の一定周波数に対してワウペダルの操作で特定の周波数をブーストしますので、ピンクの波形のように大きくブーストするペダル位置があるということですね。
このように特定の周波数でのワウペダルの波形シミュレーションはあまり意味が無いかなぁ、、、と思いながら次にFFTでいろいろやっていると面白い発見をしました。
下の図は各入力周波数で、ペダルを可変させながらFFTした時の結果です。
入力周波数 400Hz
入力周波数 440Hz
入力周波数 500Hz
入力周波数 880Hz
入力周波数 1300Hz
入力周波数 1320Hz
入力周波数 1500Hz
入力周波数 1760Hz
入力周波数 2000Hz
これらのグラフを見ると、440Hz、880Hz、1320Hz、1760Hzで倍音があまり発生していません。(あまり歪んでいない)
それに対してその前後の周波数ではペダルの位置によってかなり倍音が発生しています。
音階A=440Hzですから、その倍音(880Hz)と三倍音(1320Hz)、四倍音(1760Hz)の歪が少ない、ということはワウペダルの定数は音階のA音を基準に設計されたように思えます。
そしてペダルの踏み込み位置に応じて出て来る倍音が複雑に変化するのがその官能的なサウンドの秘密なのかもしれませんね。
ただ実際は500mHのインダクタや、周辺のコンデンサには誤差が必ずありますのでこのように定数通りの綺麗な動きでは無いかもしれませんが、それにしてもVoxのワウペダルの回路の誕生から50年以上経過する現代に至ってもV847をはじめとして、V845(廉価版)、V846(ハンドワイヤード)、V848(特別バージョン)などのバリエーションが販売されながらも基本的にはまったく同じ回路と筐体を使用しているのが当時の設計の優秀さを物語っておいると思いました。
次の記事ではワウペダルのModをするとどうなるかのシミュレーションもしてみたいと思いますが、その前にもう1台の代表選手DimDnlop CryBabyと比較した記事をアップしました。
ピンバック: JIM DUNLOP CRYBABYをシミュレーションしてVOX V847と比較してみた | Project JAZZCASTER - by カバ野郎
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