#Ibanez #TubeScreamer #TS808#エフェクターIbanez Tubescreamer TS9

TS系2号機(TS808クローン)の基板観察&TS9と比較テストしてみた


TS系5台をお借りしていますので、今回は2号機のチェックを行います。

TS系比較
TS系比較

前回の記事ではお借りしているTS系5機種のうちの1号機のチェックでした。

TS系2号の基板パーツチェック!1号機と同じビルダー製でこちらはTS808回路だった!

TS系2号機のパーツチェックで裏蓋を開けてみると、TSクローン1号機と同じ基板が使われていて、2w抵抗やマレーシア製オペアンプなど前の記事のTS系1号機とほぼ同じでした。(今回も基板の写真はなしということで申し訳ありません)
つまりこの2台は兄弟ということになりますね。

参考の回路図は同じです。

まずはTS系2号機はどのような基板とパーツをまとめてみました。

オペアンプ

  • 1号と同じTI社のRC4558 マレーシア製。ビンテージオペアンプ。

クリッピングダイオード

  • D1/D2も同じくブルーラインのシリコンダイオード。

バッファトランジスタ

  • Q6の入力バッファはTO98パッケージの2N5172。1号と同じビンテージトランジスタ。
  • Q9の出力バッファの型番は2SC945でした。国産ペダルの定番トランジスタですね。

抵抗

  • 1号と同じ極太の2Wカーボン抵抗が使われています。
  • R15が1号機が470Ωでしたが、この2号機は100Ωになっています。つまり2号機はTS808のクローンということでしょう。(というか筐体がTS808ですし)
  • R10は1号が390Ωでしたが、2号はオリジナルと同じ220Ωでした。1号の方がやや元気良いチューニングのようです。

コンデンサ

  • C1の0.02μFのカップリングコンデンサは東信のUPZポリプロピレンコンデンサ。1号と同じ。
  • C8の0.1μFはルビコンのポリエステルコンデンサ。1号と同じ。
  • C3の0.022μFは1号がポリエステルが2号は東信のポリプロピレンになっています。
  • C4のセラミックコンデンサはオリジナルが51pFで47pFで1号と同じ。
  • C5とC6は0.22μFのタンタル。1号と同じ。
  • C2とC7の1μFのNP電解はMallory製。1号と同じ。
  • C9の10μF電解コンデンサはELNA製で1号と同じ。
  • 電源部C16とC17は日本ケミコンの導電性高分子アルミ電解コンデンサAPFシリーズの100μF16V。1号と同じ。

TSクローン2号パーツチェックまとめ

ということでTS系1号と2号は同じビルダーさんによる兄弟で、1号はTS9のクローン、2号はTS808のクローンということになると思います。

ただ、1号のTS9クローンの方はちょっと元気が良いチューニングが行われているのに対し、2号のTS808は更にオリジナル通りの定数で構成されているようです。

このビルダーさんはTS9とTS808を同時に作られているようですが。普通に作ると両者の違いは出力バッファのインピーダンスしか違わないようなので弾いても区別がつかないことになると思います。しかしこの2台はオリジナルを尊重しながら違いを作り出されているのが素晴らしいですね。

もしかして、このビルダーさんはビンテージのTS808と、ビンテージのTS9の両方を所有されていて、1号機と2号機はオリジナルと同じ音が出るようにアジャストされているのかもしれませんね。

次は計測結果のご報告ですが、それらが計測結果にも表れています。

TSクローン2号機の周波数特性のチェック

今回もリファレンスとしてIbanez TS9 1st Reissueの結果を比較してみます。

TS系クローン1号機は私のTS9とほぼ同じ周波数特性がプロットされていました(まぁ同じTS9なのでそうなるべきですが)、この2号機はTS9よりEQのピークが抑えられている(わずかですが)という特性ですね。

この違いはR10の抵抗の値が1号が390Ω、2号が220Ωという違いがそのまま表れているのではと思います。
つまり1号の定数の方がより増幅ゲインが高くなっているということだと思います。

ということで1号の方がTS9クローンとしてちょっと元気が良い感じ、2号のTS808クローンの方は少し落ち着いて使いやすい特性にチューニングされているのだと思います。

TSクローン2号機の倍音特性

こちらがTSクローン2号機のDRIVEを5にして1Khzのサイン波を音量を変えながら入力した時の波形と倍音構成の様子です。

こちらがIbanez TS9 1st Reissueの波形と倍音構成の動画です。

1号機と同様に、Ibanez TS9と比較すると偶数次倍音がやや出ている感じですね。

1号機と2号機はオペアンプやクリッピングダイオードが同じで、クリッピング回路の定数も同じですので、まぁ当然の結果なのかもしれませんね。

TSクローン2号とTS9の倍音発生のパターン比較

TS9クローン2号のDRIVE=5でのスペクトラムをIbanez TS9 1st RessueとGIFにしてみました。

Ibanez TS9 1st Reissueと、TSクローン1号のスペクトラムをサイドバイサイドで表示してみました。横軸は1/2にしています。

GIFアニメの通りこれも1号まっく同じ部分にIbanez TS9に対する特徴が表れています。

低音側を拡大する為に縦軸をLog表示の方もGIFアニメにしてみました。

Ibanez TS9とTS系2号機のサイドバイサイドをGIFアニメにしてみました。

こちらも1号とほぼ同じ、というか全く同じ倍音が出ていますね。

TSクローン2号 v.s. Ibanez TS9 1st Reissue音出してみた

ということでスタジオで音を出してみました。
今回も演奏ではなく、ひたすら気になるところの音を出している貞ですのでやさしく見て聞いて頂ければ幸いです(^^

TSクローン2号まとめ

基板のチェックで、1号と2号が同じビルダーさんが制作されたもの、そして1号がおそらくですがビンテージTS9クローン、2号がTS808クローンであることが判明しました。(というか筐体からしてが明らかにそうなっているんですが笑)

で、TubeScreamerの回路は前段のオペアンプがローカットとソフトクリッピングを、後段のオペアンプが高域のブーストを行っているのですが、1号と2号は歪みを作る前段の定数が同じですので、回路構成的にも同じ歪みが得られていると思います。

一応、1号と2号のスペクトラムをサイドバイサイドしてみるとこんな感じです。

TS9クローン vs TS808クローン
TS9クローン vs TS808クローンスペクトラム
TS9クローン vs TS808クローンスペクトラム Log表示
TS9クローン vs TS808クローンスペクトラム Log表示

やはり同じような倍音構成とその変化になっていますね。

ということで、1号と2号を作ったビルダーさんはかなりの知識と拘りを持たれている方だと思いますが、そもそもTS808とTS9の回路は出力バッファ部分の本来音に関連ない部分の違いですので、同時期に同じパーツを使って作るとほとんど音の違いは出て来ないと思います。

それにも関わらず2台のキャラを変えて来られているのは更に深い知識と拘り、そしてそれを実現できるパーツを持たれているということですね。

今回も本当に参考になりました!

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