TS比較!Ibanez TS808HW2 v.s. TS9 1st Reissue v.s. Maxon OD808 – 倍音特性編(FFT)
Ibanez TS808HW2をお借りしていることで、いつものチューブスクリーマーのリファレンス機として使っているTS9 1st Reissueに加えて同じナンバーが与えられているMAXON OD808も追加してまずは周波数特性を比較してみました。
そして今回はこの3機種の出力波形をFFT分析つまり周波数成分を分解によって、歪で発生する倍音の構成とノイズの様子を観察してみました。
テスト条件など
今回の計測はまず、1KHzの正弦波でペダルのレベルを-20dBuで与えてFFTで解析するようにしています。
で、バッファ計測で出力も-20dBuに合うようにオーディオインタフェイスを調整。
そしてエフェクトON時はペダル側のLEVELツマミで、出力を-20dBuにしています。
つまり、バイパス時とエフェクト時の音量を合わせるという方針でやります。
加えて後半は入力のレベルも変化させた状態でも確認していみます。
バッファー出力の歪特性のFFT観察
まずバイパス時の信号の観察です。
TS9のバイパス音のFFT
こちらがTS9のバイパス時つまりバッファ通過後の倍音構成です。
ブルーなど色が付いているプロットが最大値、黒のプロットがリアルタイムの値です。
なので色付きの方を注目して頂ければと思います。

このグラフに2、3、4、5、6、7、8という数字が見えると思いますが、これが1Khzの入力に対する倍音となります。
一方で、それ以外にも多くのヒゲのような線が発生していますが、これはノイズによる信号と考えて良いと思います。
MAXON OD808のバイパス音のFFT
こちらがMAXON OD808のバイパス時つまりバッファ通過後の倍音構成です。

ほんの僅か、TS9よりも2次、4次倍音が飛び出ているように見えますが、-100dB付近の極小音領域の信号の数dbの違いなので人間の聴力ではその差を感じ取ることができないと思います。
どちらのバッファ回路も6Khz以下でわずかにノイズが発生していつことが見て取れますね。
ちなみに、バッファ回路には電子スイッチ回路も含まれています。
Ibanez TS808HW2のバイパス音のFFT
こちらがTS808HW2のバイパス時、つまりトゥルーバイパスですので、電子回路を通っていない信号の倍音構成です。

当たり前ですが、バッファーで発生していたようなノイズがなくなっていますね。
エフェクトON時のFFT解析で倍音とノイズを観察
次にTubeScreamerをONにした時の倍音構成を観察してみます。
Ibanez TS9 DRIVE=0での倍音構成
まずはIbanez TS9で、入力レベルが-20dBu、DRIVEツマミ=0、TONEツマミ=10で、LEVELを原音と同じ-3dBuになるように調整して計測してみます。

これまで何度もTS9の倍音特性を計測していますが、今回も同じくまず3次倍音が発生しはじめました。
MAXON OD808 DRIVE=0での倍音構成
次はMAXON OD808も同様にしてFFT解析してみます。

こちらも同様に3次倍音が発生しはじめていますね。やはりTubeScreamer兄弟ですね(あたりまえ)
Ibanez TS808HW2 DRIVE=0での倍音構成
TS808HW2も同様にしてFFT解析してみます。

TS808HW2も3次倍音から発生しはじめていますね。TubeScreamer三兄弟ですね!
でTS9とOD808と異なるのは、4次以上の倍音が発生していないことです。
それも含めてTS9とOD808も入力バッファで発生しているわずかなノイズが乗っているのに対しTS808HW2の入力部はそのようなバッファが無いのか?それともローノイズの入力バッファがセレクトされているでしょうかね。後日蓋を開けて確かめてみたいと思います。
ちなみに、次の記事でノイズに関しての観察も書きますが、TS808HW2が総合的にローノイズということではありません。
Ibanez TS808HW2 DRIVE=5での倍音構成

もう当社比では同じですが、TS9はDRIVEを加えると奇数次倍音が着実に増えるという堅実なw結果ですね。
MAXON OD808HW2 DRIVE=5での倍音構成

TS9とは細かい違いはあれど、こちらも奇数次倍音発生マシーンとなります。
Ibanez TS808HW2 DRIVE=5での倍音構成

TS808HW2も奇数次倍音が確実に出ますが、同時に4次倍音の頭が出ていないですね。
これは少しドライブ回路のゲインが低いかもれませんが次のDRIVE=10では3機種同じようになっていますので、中間地点での個体差とも考えられます。
Ibanez TS9 DRIVE=10での倍音構成
次はTS9のDRIVEツマミをフルにしてみます。入力は-20dBuのままです。

これも何度も計測している通りTubeScreamerは奇数次倍音の発生マシーンということですね。相変わらず偶数時もふくめて高域までの倍音の構成が美しく(^^推移し安定していますね!
Ibanez TS808HW2 DRIVE=10での倍音構成
次はMAXON OD808のDRIVEフル時の倍音構成です。

これもTS9とほぼ同じく奇数次の倍音を中心とした綺麗な倍音構成ですね。兄弟!
Ibanez TS808HW2 DRIVE=10での倍音構成
こちらがTS808HW2のDRIVEフル時の倍音構成です。

TS808HW2の倍音構成も同じく(あたりまえかもしれませんが)綺麗な倍音発生マシーンですね!三兄弟!
ということで、3台のTubeScreamerですが倍音特性はやはり三兄弟であることが判りました。
ドライブ&クリッピング部の回路はほぼ同じということなんでしょうね。
入力レベルを-3dBuにしてFFT計測してみた
これまでの検証でほぼ結果は見えて来たのですが、念のため追加の検証で入力レベルを-20dBuから-3dBuにアップして計測してみました。
Ibanez TS9 -3dBu入力 DRIVE=10での倍音構成

入力レベルをアップしていますが、奇数次倍音の発生がメインで高域まで綺麗に倍音が発生していることは変わりませんね。
Ibanez OD808 -3dBu入力 DRIVE=10での倍音構成

勿論、OD808でも同じ傾向の結果ですね。
Ibanez TS808HW2 -3dBu入力 DRIVE=10での倍音構成

TS808HW2も同じ!
TubeScreamer三兄弟の倍音特性まとめ
ということで、前回の周波数特性の計測結果と今回のFFT計測も併せると周波数特性と歪みの倍音構成もほぼ同じですね。
TS9とOD808とTS808HW2はTS三兄弟であることが更に確認できたと思います。
ちなみに、下の記事ではマレーシア製オペアンプを搭載したTubeScreamer回路から出てくる倍音が明らかに違っていることが検証できています。
今回のチューブスクリーマー三兄弟は揃って奇数次倍音の生成マシーンとなっていますので、それらのオペアンプはマレーシア製のように若干性能が悪いものではなく、品質が安定しているオペアンプが採用されているということになると思います。
ということで今回はあまり面白くない記事(^^だったかもしれませんね。
ところがです、今回のFFTの結果で面白いことも判明しました。それはノイズの差です。
次の記事では三兄弟のノイズの違いを観察してみたいと思います!


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