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10μFの電解、フィルム、積層セラ、OSコンデンサ21種類をマルチメーターで計測してみた


今回の10μFの電解コンデンサはオーディオ用も比較してみる

前回HeathKitクローンHikiSugitの制作で使用する入力の0.1μFカップリングコンデンサを計測してみましたが、今回は、出力側の10μFカップリングコンデンサをマルチメーターで計測してみることにしました。

今回は出力の10μFですので、この容量になると電解コンデンサの出番ですが、電解コンデンサにはオーディオ用、無極性、高耐久型、高温耐久型、小型、などのバリエーションがありますので準備してみました。

更に、電解コンデンサだけでは面白くないので、昔からあるタンタルコンデンサ、WIMA MKS ポリエチレンフィルムコンデンサと、最近主流になっている表面実装用の積層セラミックコンデンサ、最近ペダルでも使用されることが増えているOS-CON(導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ)、また参考としてSPURUG社の15μ電解(10μ持っていなかったので)も比較しました。

計測は前回通りLCRマルチメーターで120Hz、1KHz、10KHz、100KHzで行いましたが簡単にするため1Kと10KHzを掲載します。

  • 各値について
    • D、Q、θは同義語のようでマルツさんのページにパスします
      • D : 0に近い方が高性能
      • Q : 高い値の方が高性能
      • θ : -90度が理想のコンデンサ
    • ESR : 内部直列抵抗値で低い方が良い

10μFのコンデンサ計測結果一覧

1KH10KHz
CDQESRθCDQESRθ
1E電解10μ35V8.414u0.2264.414.28-77.27.45u1.3330.7492.84-36.8
2E電解Audio10μ16V8.661u0.24.993.67-78.67.558u1.2110.8272.53-39.6
3E電解Audio10μ50V9.218u0.04124.10.71-87.58.856u0.2344.250.42-76.7
4N電解10μ50V9.393u0.1327.522.25-82.38.658u0.9451.0561.74-46.3
5N電解Audi小型10μ25V9.325u0.1845.43.15-79.48.399u1.1960.8352.26-39.8
6N電解Audi小型10μ50V9.647u0.05517.920.92-86.79.299u0.3063.260.52-72.8
7N電解Au無極10μ16V9.176u0.3972.516.93-68.17.155u2.870.3476.42-19.1
8N電解Au無極10μ50V10.119u0.0812.291.28-85.29.587u0.6361.5651.06-57.2
9T電解10μ100V8.498u0.1476.762.77-81.57.728u0.9781.0212.01-45.5
10T電解-高温10μ50V9.537u0.09510.471.59-84.58.764u0.4952.030.88-64.1
11T電解Audio10μ16V9.909u0.1099.071.77-83.69.054u0.6941.4381.21-55.2
12T電解Audio10μ50V9.502u0.1138.781.91-83.48.579u0.6341.5711.18-57.3
13T電解高耐久10μ400V9.022u0.323.15.71-71.97.574u2.450.4035.28-21.6
14R電解10μ100V8.854u0.09710.261.75-84.48.233u0.5891.6951.14-59.4
15C電解小型10μ25V9.226u0.1049.521.81-83.98.293u0.4512.210.86-65.7
16U電解高温10μ50V9.295u0.1436.962.46-81.78.492u0.7781.2821.46-51.9
17POSコン10μ25V9.585u0.0196.00.17-89.49.458u0.02147.60.03-88.7
18タンタル10μ16V9.868u0.1466.822.36-81.69.467u1.3180.7582.21-37.1
19Wポリエチレン10μ50V10.166u0.004217.00.07-89.710.095u0.01277.40.02-89.2
20積層セラ10μ35V10.418u0.006181.90.08-89.610.2130.0023550-89.7
21S電解15μ50V14.237u0.05717.370.64-86.613.603u0.3692.70.43-69.6

迷った時にはAudio用50V耐圧

下の写真は、Nichicon小型オーディオ用、Nichicon無極性オーディオ用、東信オーディオ用、ELNAのオーディオ用のコンデンサ10μF電解コンデンサですが、それぞれ耐圧が16Vと50Vのものを準備しました。

その結果今回の計測で解ったのは、オーディオ用の50V耐圧のコンデンサが良い性能を出しているということでした。
オーディオ界隈では電解コンデンサは同じ容量なら耐圧が高い方が音が良いと言われていますので今回の計測結果は一致すると思います。

その中でも一番左のNichiconの電解コンデンサは、50V版でも背が低いのでペダル用のコンデンサとしては良い選択だと思います。

一方、極性が無いので簡単に使えることで人気がある緑のNichiconのMUSEコンデンサですが16V版はESR値(抵抗値)が高いので留意する必要があるかもしれません。50V耐圧のものは高性能ですね。

またその他の電解コンデンサも50V耐圧のものは良い値を出している傾向がありますね。
参考計測したSPRAGUEの15μ電解コンデンサも良い結果ですが、これも耐圧が50Vです。

ちなみにですが、電解コンデンサの耐圧が高い方が高性能というわけで無く、400V耐圧の電解はかなり性能が落ちるようです。

またオーディオ用では無い電解コンデンサは容量の誤差が多く、少ない値になっているものが見当たりますね。
電解コンデンサはフィルタ回路ではほぼ使われませんので、容量はアバウトで良いのかもしれません。

お財布と基板のスペースがあればWIMAフィルムコンデンサ一択か

こちらは左からOSコン、WIMA MKSフィルムコンデンサ、表面実装積層セラミックコンデンサ、タンタルコンデンサです。
いずれも電解コンデンサより高性能と言われているものですね。

計測結果ではやはりWIMA MKSコンデンサはカップリングコンデンサとして最高の性能でした。
Q値を見ると電解コンデンサよりも1桁〜2桁高いですね。次元が違う感じですねw
その代わり、10μFの大容量になると大型になってお値段も電解の数倍〜10倍します。
大きさ&お値段なりの性能ということですね。

OSコンは電解コンデンサよりかなり性能は良いのですが、それでもフィルムコンデンサよりは劣るようです。
ただ、漏れ電流があるのでメーカーからカップリングコンデンサとして推奨していませんのでご注意ください。
またハンダ付けの熱にもかなり弱いようなので慣れていない場合はこの性能を出すのが難しいようです。

積層セラミックも電解よりかなり性能が良く、高域側の性能も伸びていますね。
最近のメーカー製コンデンサの表面実装基板の回路ではよく使われていますので、自作ペダルでも使われることが多くなるかもしれません。

タンタルコンデンサは電解コンデンサより性能が良いと言われていますが今回計測したものは、それほどでも無いようでした。
その代わり、電解コンデンサよりもかなり小型が、耐久性があるようで、経年変化も少なく、大容量ではフィルムコンデンサよりも安価なので、グライコなどのフィルタ回路用の大容量コンデンサで使われているようです。

10μFカップリングコンデンサ計測結果と選び方まとめ

  • カップリング用電解コンデンサはAudio用の50V耐圧品が高性能
  • SPLUGコンデンサ(21番)も定評通り良い性能
  • OS-CONは評判通り性能が良いが、カップリング用途には不向き
  • タンタルコンデンサは小型以外メリット少ない
  • フィルムコンデンサは圧倒的高性能
  • 積層セラミックの性能も良い

ということでAudio用電解コンデンサもはそれなりに安心して使えるようです。
しかしその性能が活かせる50V耐圧を選ぶと大きくなることがジレンマになるかもしれませんね。
大きいのならフィルムコンデンサが最高ということになりますし。

最後は実際の出音

結局、今回も元も子も無い結論かもしれませんが、Fuzzのようなトラディショナルな回路のコンデンサは必ずしも性能が高い=エモい音がする、、、というわけでは無いようです。
また、見た目もFuzz基板の中にOSコンや四角いフィルムコンデンサはちょと似合わないかなぁ(^^というケースもあるかと思います。

そして回路設計の思想としてもあえて低性能のコンデンサを選ぶ方が良い場合もあります。

なので結局コンデンサ選びは耳で聞いて確かめる必要があると思います。

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