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BOSS DS-1日本製銀ネジ ・台湾製基板の電子パーツの違いを確認した音の差になっているよね| (その5:まとめ編)


前の記事では、BOSS DS-1の日本製銀ネジ、日本製黒ネジ、台湾製の3台の基板ご開帳を行い、まずは音に関係なさそうな(あるかもしれませんが)部分を纏めてみました。
今回は最後の記事で、音の違いに関連がありそうな部分をチェックとまとめ

オペアンプの 違い

ここ最近、ビンテージペダルのオペアンプがどうなっているという話が本当に良く話題になりますので、まずはチェックしないといけないですねw

BOSS DS-1 日本製銀ネジのオペアンプはTA7136P1でした。

BOSS DS-1 日本製銀ネジのオペアンプ
BOSS DS-1 日本製銀ネジのオペアンプ

BOSS DS-1 日本製黒ネジのオペアンプはTA7136APでした。

BOSS DS-1 日本製黒ネジのオペアンプ
BOSS DS-1 日本製黒ネジのオペアンプ

BOSS DS-1 台湾製のオペアンプはBA728Nでした。

BOSS DS-1 台湾製のオペアンプ
BOSS DS-1 台湾製のオペアンプ

クリッピングダイオードの違い

オペアンプと同じく、歪みペダルにおいて皆さん気になるのはクリッピングダイオードですよね!但し、BOSS DS-1はシリコンダイオードがハードクリッピング回路として使われいますが、型番などが書かれていないので外観だけしかチェックできません。ネット情報によればこのクリッピングダイオードは1S2473と言われています。

BOSS DS-1 日本製銀ネジのハードクリッピングダイオードは、黄色いラインが入っていますね。検索するとオリジナルの1S2473はこの黄色いラインで合っているようですね。

BOSS DS-1 日本製銀ネジのクリッピングダイオード
BOSS DS-1 日本製銀ネジのクリッピングダイオード

BOSS DS-1 日本製黒ネジのハードクリッピングダイオードは、黒いラインが入っています。
検索すると1S2473の型番でこのような黒ラインが入っているものもあるようです。このように後継品やジェネリック品では違う外観になる場合もありますし、そもそも小信号用のシリコンダイオードは殆ど特性が同じものが多いことから何使っても同じwということで代替品扱いなのかは不明です。

BOSS DS-1 日本製黒ネジのクリッピングダイオード
BOSS DS-1 日本製黒ネジのクリッピングダイオード

BOSS DS-1台湾製のハードクリッピングダイオード。こちらは同じく黒ラインですが、太さやガラス部分の丸味が違いますね。

BOSS DS-1 台湾製のクリッピングダイオード
BOSS DS-1 台湾製のクリッピングダイオード

トランジスタの違い

BOSS DS-1 日本製銀ネジ、黒ネジ、台湾製のバッファトランジスタ、初段トランジスタの違いを確認してみました。

BOSS DS-1 日本製銀ネジのトランジスタには2SC732GRが使われていました。

BOSS DS-1 日本製銀ネジのトランジスタ
BOSS DS-1 日本製銀ネジのトランジスタ

BOSS DS-1 日本製黒ネジのトランジスタにも2SC732GRが使われていました。当然ですがロット番号?は銀ネジが9Fで黒ネジが1Bということで違いはありますが、、、、

BOSS DS-1 日本製黒ネジのトランジスタ
BOSS DS-1 日本製黒ネジのトランジスタ

BOSS DS-1 台湾製のトランジスタは日本製の2台と異なる2SC2240GRが使われていました。
おそらく2SC732が終了品になりその代替品が2SC2240ということだと思います。

BOSS DS-1 台湾製のトランジスタ
BOSS DS-1 台湾製のトランジスタ

BOSS DS-1の倍音特性の違いを振り返ってみる

ここで、BOSS DS-1の日本製銀ネジ、日本製黒ネジ、台湾製の倍音特性を計測していました。

で、オペアンプタイプのディストーションペダルでは、よくオペアンプやクリッピングダイオードを交換してみた系の話題が多いですが、DS-1の計測から最も違いがあるのが偶数次倍音の発生でした。

以前のシミュレーションでは初段のトランジスタがオーバードライブして偶数次倍音が発生しているということを予測しています。

となると、DS-1の回路で偶数次倍音を発生している初段トランジスタの違いの影響が大きいのではと予測しています。日本製の2台が2SC732で同じ傾向の偶数次倍音だったのに対し、台湾製の初段トランジスタが2SC2240となっている違いと合致するのではと思います。

コンデンサ・抵抗の違い

BOSS DS-1 日本製銀ネジ、日本製黒ネジ、台湾製の3台の抵抗とコンデンサを出来るだけチェックしてみました。
それぞれに微妙にメーカー表記、形状、色などが異なっていますので、全ての違いを厳密に網羅して調べることは断念したのですが(最初から諦めていましたがw)電子スイッチ制御など音にあまり関係なさそうな部分(たくさん違いがあるようでしたが)は無視して、オーディオ信号が通過する部分の抵抗値と容量値の表記を調べてみました。(耐圧も違うようでしたが(結構重要かもしれませんが)今回は無視しています)

BOSS 日本製second editionと言われる回路図がネットで出回っていますね。これが基準になると思いますが、今回日本製の黒ネジがそれと同じような定数でしたので、ことなる部分だけメモしています。

BOSS DS-1日本製銀ネジの基板を観察すると、入力バッファ前のカップリングコンデンサC1が0.047μFではなく0.1μF、そして、Q2トランジスタのコレクタ-ベース間の抵抗が470kΩから220kΩでした。
※スイッチ制御部分の回路は確認していません。

BOSS DS-1 日本製銀ネジの回路図
BOSS DS-1 日本製銀ネジの回路図

BOSS DS-1日本製黒ネジの基板はネットに出回っている回路図とほぼ同じようでした。オペアンプの細かい違いのみメモしています。
※スイッチ制御部分の回路は確認していません。

BOSS DS-1 日本製黒ネジの回路図
BOSS DS-1 日本製黒ネジの回路図

BOSS DS-1台湾製の基板をチェックしてみると、初段トランジスタとオペアンプの間にあるカップリングコンデンサが日本製が0.47μFの電界コンデンサだったのに対し、台湾製は0.063μFのフィルムコンデンサに変更されていました。また、オペアンプの帰還部のバイパス電界コンデンサが日本製が1μFだったのに対し、0.47μFでした。

BOSS DS-1 台湾製の回路図
BOSS DS-1 台湾製の回路図

BOSS DS-1の周波数特性の違いを振り返ってみる

こちらの記事で、DS-1日本製銀ネジ、日本製黒ネジ、台湾製の周波数特性を計測していましたが、台湾製の低域がタイトで高域が伸びているのは上のようにカップリングコンデンサの違いは少なからず現れていると思います。

一旦まとめ。測定結果とかパーツとか

ここで今回の3台のDS-1一旦まとめです。

計測結果から予測する音の傾向。

日本製 銀ネジ日本製 黒ネジ台湾製
低音EQ黒ネジよりほんの僅かにタイトこの中では最もワイドレンジ
但し日本製同士ではほぼ同じ
日本製よりタイト
中高音EQトーンの効きが緩いトーンの効きが良いハイ側だけ極端にトーン
が持ち上がる
倍音二次倍音が豊か二次倍音が豊か奇数次倍音がはっきり出る

3台の基板上で音に関連がありそうなパーツの違いまとめ。

日本製 銀ネジ日本製 黒ネジ台湾製
オペアンプTA7136P1TA7136APBA728N
クリッピングダイオード黄線黒線黒線(銀ネジとは別形状)
トランジスタ2SC732GR2SC732GR2SC2240GR
入力カップリングコンデンサ0.1μF0.047μF0.047μF
初段トランジスタC-B抵抗220KΩ470KΩ470KΩ
オペアンプ入力カップリング0.47μF 電解0.47μF 電解0.068μF フィルム
オペアンプ帰還バイパス1μF 電解1μF 電解0.47μF 電解

ということで、何となく計測結果と、パーツの違いの関連が見えてくるように思いました。

台湾製の低音が最もタイトなのは、オペアンプの入力カップリングコンデンサの容量値がかなり小さくなっていること、一方でフィルムになっていることで高域の特性が若干良くなっていることが予測できます。また、オペアンプの帰還バイパスコンデンサの値もほんの僅かですが高域寄りですね。

で台湾製になって二次倍音が少なくなったのは、初段のトランジスタが特性が良いものに変更されたことで歪み難くなっていると予測しています。

また、今回の測定方法では現れないのですが銀ネジの初段トランジスタのC-B間の抵抗値が少ないのは、他の2機種よりも飽和しやすいのかもしれません。これは黒ネジで改善されたのかもしれませんね。

BOSS DS-1 日本製の2台と台湾製、実際に音を出してみた

私は耳が悪いですし演奏テクも無いので、ペダルを弾いて絶対評価しろと言われても無理です。
また、高域が出ないペダルに対して、音が太くなった、なんて単語を選んだ良い説明もできませんw

なので、確認したのは計測結果を確認だけです。おそらく自分では確認出来ていたのですが、この演奏では伝わらないと思いますので申し訳ありません。

今回の計測用として、バッファ・ブースター・スプリッタ が出来るペダル(画像では一番右の金色のやつ)を作ってみました。

スプリッタにしたのは比較する2台のペダルに対して常にギターの信号をインプットする状態を保つことです。
ループセレクタのように入力も切り替えると、例えばサスティーンの状態とか、発信している状態で切り替えると、使っていないペダルは入力ゼロからいきなり入力が始まることになるので何となく音が途切れる感じがしていたからです。

バッファにしたのは、スプリッタを安定動作させる為です。またそもそもBOSSのペダルはバッファードなので問題無いと思います。

ブースターが必要だったのはDS-1の初段トランジスタをオーバードライブさせてみたかったからです。

BOSS DS-1 日本製銀ネジと日本製黒ネジの聞き分け動画

まずは、日本製銀ネジ(左)と日本製黒ネジ(右)を聞き分けしています。

なーんとなくですが、やはり黒ネジの方が活き活きした音がするような気がします。その代わり銀ネジの方が落ち着いた音もするような気がしますが、まぁどっちもいいですね!(単独で使うと私の耳では判別不能ですw)

また11分30秒(長くて申し訳ありませんw)くらいで、クリーンブースターのゲインを上げています。
銀ネジの方が早く飽和しているように聞こえます。( B-C抵抗が220KΩというこちらも先入観ありありかもですが)

BOSS DS-1 日本製銀ネジと台湾製の聞き分け動画

次の動画は、BOSS DS-1 日本製銀ネジ(右)と台湾製(左)の聞き分けです。こちらも11分50秒あたりからブースターのゲインを上げて試しています。

日本製同士の聞き分けはほんの僅かな違いでしたが、日本製と台湾製ではEQの特性が違うのが判る、、、ですよね!w

で、台湾製は(おそらく)初段のトランジスタが歪み憎い特性だと思いますが、ブースターでブーストするといい感じになると思います。日本製にブーストすると飽和感が強いのですが、台湾製の方にブーストするとより強い歪み感ながら分離感は残っていると思います。

BOSS DS-1 日本製vs台湾製 まとめのまとめ

BOSS DS-1ほど長い間継続して作り続けられている(日本では一時販売を休止していたようですが)ペダルも少ないと思います。
世界一沢山販売されているディストーションペダルとして今でも君臨しているのは凄いことですね。

で製造期間が長いのがネタになるせいかネット記事とかSNSでオペアンプの違いで音が違うとかいろいろ話が流れてたので、それは本当かということを確認したくなりました。(耳が悪いので、他の方の動画みても判らなかったw)

なので自分で計測してみると、日本製と台湾製で明らかな違いが出てきました。
また日本製同士でも僅かに違いが認められたのも良かったです。(まぁそもそも同じ時期でも個体差もあると思いますが)

で、DS-1は現代のディストーションペダルとしてゲインが低いというのもオーバードライブ的に使うとかっこいいということも理解できました。
これも人気の要因だと思います。
この場合日本製の心地良い倍音感を利用すると、但し弾き手を選ぶと思いますが、かなりカッコいい音をさせる唯一無二の愛機になると思います。

一方で、私は台湾製にブースターでプッシュするという使い方がかなり気に入りました。DS-1のゲインを少なめにした上でブースターでプッシュすると、ギターのボリュームコントロールで非常に幅広い音を作ることが出来ました。

このようにいずれのバージョンも使い方次第でそれぞれがカッコいい音が出ましたので、結局使い方とそれに伴う個人での好き嫌いなんだなぁと思います。
なので今は入手できないオペアンプが使われているとか、あるいはレアで貴重、初期もの、ネジの色、製造地の違いで選択するのは勿体無いと思いました。

ただ人間は弱いもので、台湾製しか持っていない私は、メルカリとかオークションとかリサイクルショップのサイトで日本製のペダルを探してしまう今日このごろですっっwww

感謝

今回、BOSS 日本製銀ネジの個体をお貸ししていただいた、いきすぎたDIYさん、日本製黒ネジの個体を貸していただいたデルリンさん、本当にありがとうございました。

おかげで長年のwギモンだったDS-1日本製って音が違うのっていうことに対し、今回の検証で「違いあるよ!」と言えるようになりました!

また今回のネタ全5話を見ていただいた方々にも感謝いたします。こんなに長く引っ張るつもりは無かったので申し訳ありませんでした。





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