【FuzzFace/TS808 2in1ペダル葛西ブルーズドライバー2への道】(その1)二人の友情に感激したので回路を調査させて頂きました
葛西ブルーズさんのYouTube配信を見ていたら、、、
YouTubeで最近じわじわ人気の葛西ブルーズさんのとある日の配信で、あるビルダーさんに作ってもらったペダルのFuzzが思ったような音が出ないのでこれは正常なのかどうかを確認していただく方を募集されていました。
で、以前トンデモベンダーを制作させて頂いた時に、Twitterでありがたい応援コメントを頂いていたので、Fuzzの音を確認するのならOKです!と返信させて頂いたのです。
ですぐに送って頂いたのがこちらのペダルでした。
フットスイッチやツマミ付近に説明が無くどうやって操作するのか判りませんね(^^
ブランドやビルダーさんも不明です、、、、
TSの音はよかったけどFuzzの音がやっぱりおかしい、、、
で、音を出してみると、どうやら左側はTS系のオーバードライブということは判りました。
TS系としてはど真ん中の音が出ていてなかなか良い感じでした。
とすると右側がFuzzということですが、ツマミを全て全開にしてもやっと音が聞こえるくらいのレベルで歪みもパリパリという音がしているだけで、これは使い方の問題ではなく故障か?配線ミスか?最悪設計ミス?という感じでした。
なので申し訳ありませんが、改善の為にも中身をご開帳させていただくことにしました。
m(_._)m
3つの基板が存在していました。
おそらくどれかがオーバードライブで、どれかがFuzzとすると残り1つな何なんでしょうね?
ちょっと配線がカオスになっていたので1つ1つ確認して行くことにしました。
そのうち1つの基板はTS系だった
まずは一番右の基板を観察。
ユニバーサル基板で作られていますが、黒マジックで配線がトレースされているのでしばらくそれをトレースすると大体解ってきました。
RC4558DDオペアンプの右にダイオード2本が配置されていますが、回路的にはおそらくTS系ということですね。
2つのトランジスタは入出力のバッファと思われますので、これはTS-9かTS-808をコピーしたものと思われます。
がっ、ふと裏蓋に貼られていたスポンジの下に文字が見えたので剥がしてみますと、、、
なんと、TS-808 . FuzzFace 2in1 と書かれていました(^^
最初から裏蓋からチェックしているとすぐに解ったとは思いますのでちょっと時間が勿体なかったですね。
決定的な問題をまず1つ確認
とするともう1つの基板な何なんでしょう?というギモンが別に出てきました。
で残り2つの基板を確認してみます。いずれも極小の基板にパーツが詰め込まれていました。
で、ここでFuzz側の下のポットの両端にしか配線されていないことを発見しました。
下の拡大写真でポットの真ん中の端子がオープンになっていますね。これでは可変抵抗器の役割をなしていません。
なのでバラして残り2つの基板を確認することにした
ということで、これはもうこのままでは改修不可能と判断しましたので、所有者のゆうちゃんさんに連絡して、2つの基板を取り出してみさせて頂くことにしました。
まずこちらの基板はJRC4558DDオペアンプが使われていますね。
これは出力側に繋がっていました。またポットがコンデンサのRC回路に繋がっていましたの、おそらくですがトーンコントロール兼ローゲインブースターという感じでしょうかね。
とするとFuzz側の3つ目のツマミはトーン調整といった感じでしょうか。
FuzzFace基板にかなり問題がありそうなのでシミュレーションしてみることにした
で、こちらの基板に2つのトランジスタが使われていますのでおそらくFuzzFzce基板本体だと思われます。
こちらも回路トレースしてみましたが、まずパーツをみると、抵抗値が一般的なFuzzFaceとかなり違うようですね。シミュレーターで回路を起こすとこんな感じでした。
通常上の図のR24よR25の間で分圧されたものが出力となるのですが、この基板ではなんと、トランジスタのコレクタからダイレクトに繋がっていました。まぁこのコンセプトで設計もアリかもしれませんが、とするとR24とR25を2つの抵抗に分ける意味はありませんね。(私見です)
で、この回路のままシミュレーションしてみるとこんな感じになります。
なんと、下が0Vで上が8Vオーバーという大変な波形が出ることになります。
通常のペダルでは音声信号は±1V程度だと思いますのでおそらくこれをそのまま他のペダルやアンプに接続すると最悪接続先を壊してしまう可能性があります。
音量が小さいのはミラクルセーフだった
ではなんで音量が小さかったのでしょうか?
次に基板裏を見てみます。
すると、この後段のトランジスタのコレクタが半田の流れによって隣とショートしていることを確認しました。
しかも微妙な接触状態でなので音量は完全にゼロではなかったことで気が付きにくかったようで、まさにミラクルです!8Vの信号が出ていなくてよかったです。
謎のFuzzFace基板は改修不可と判断しました
ということで、このFuzzFace側の基板を観察のまとめとしては
- FuzzFaceではあまり例の無い抵抗値がセレクトされている。
- Q2の抵抗をここまでアップすると制御できない歪みになる筈。
- 基板パターン制作の間違い?
- マジックで配線が書かれていますので基板設計時にそうなっていたと思われます。
- ハンダ不良
- その他の部分もあまり良い状態ではありませんでした。
となると、基板も極小作られていましたので抵抗の入れ替えやパターン変更するのも困難と判断しました。
よって残念ながらこのFuzzFace基板は使わない方が良いことを葛西ブルーズさんに報告させていただきました。
葛西ブルーズさんがこのペダルの顛末動画をアップされた
しばらくして葛西ブルーズさんがこのペダルを作った顛末の動画をアップされました。
(動画ではiPhoneの音量自動調整でそうなっているようですが実際はFuzz側の音量はかなり低い筈です。)
このペダル、葛西ブルーズのなりちゃんさんが、ゆうちゃんさんに対して友情の証としてプレゼントしたものなんですね。素晴らしいです。
やはりオーバードライブ側の方は問題無いようですが、それだけにFuzz側がちょっと問題があるのは非常に残念だと思いました。
で音量が小さいことをビルダーさんに相談されたそうですが、Fuzzとはそういうもんだぞーという回答だったそうで、未対策に終わってしまったようです。
少なくとも音量が小さいということを受けで、改めてハンダ付けに問題が無いのかくらいは見て頂いた方が良いのではとも思います。(私見です)
葛西ブルーズさんのお二人の友情が素晴らしいだけにちょっとかわいそうですね、、、続く
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