夏休みの追加宿題:ProCo RATのオペアンプを入れ替えるとどうなるのかを自由研究してみた


前回の記事で、歴史的ディストーションペダルのProCo The RATをシミュレーションしてみました。

このお勉強を復習してみると、、、

  • ProCo RATは、オペアンプの増幅率(ゲイン)をかなり大きく設定している。
    • 結果、早い段階で飽和領域(これ以上増幅出来ない領域)で動作する。
    • 入力信号をリニアに増幅してい無い→信号が歪んでいる状態になっている。
  • オペアンプの出力を更にクリッピングダイオードで信号の上下を切り取って最終的な歪みを作っている

という動作になっていることが判りました。

夏休みの自由研究課題を考える

夏休みはお時間がありますので、ちょっと色々やって見たくなりました。

オペアンプの歪み系エフェクターを自作する時、ソケットを利用して様々なオペアンプを試して見るということがよくやりますよね。

ですが実際にオペアンプを交換しても超微妙な違いしか出て来ないケースが多かったように思えます。

その回路をシミュレーションして、違うオペアンプに差し替えても違いが出きません。
ソフトクリッピングの回路では、クリッピングダイオードがオペアンプのリミッタ的な回路になっていて、歪んでいるとは言っても、オペアンプはリニアな領域で安定動作をしていると言えると思います。

しかし、前回のProCo RATお勉強会ではゲインを極端に上げて飽和領域で動作さているように思えました。なので、、、

  • オペアンプの飽和状態絵をシミュレーションすることで、なにかヒントが得られないか?
  • いや逆に、結局上下をバッサリダイオードでクリッピングしているので、結局オペアンプを差し替えても大して変わらないのでは?

という相反する疑問が湧いてきました。

で、LM308、OP07、OPA277のライブラリで見つかったので、これらのオペアンプを前回と同様、まずはハードクリッピングダイオードを外して飽和状態シミュレーションして様子を確かめることにしました。

回路への入力信号は±0.2Vの1000Hzで、DISTORTIONツマミを0からMAXに変化させて、出力波形とFFT(周波数分析)結果をプロットしてみます。

ProCo RATのオペアンプを LM308 にした時

上の波形プロットを見るとプラス側とマイナス側の飽和電圧(の絶対値)が異なることが判りました。

  • +側 約3.7V
  • ー側 約4.3V

更に観察すると、ちょうど黄色い線(DISTORTIONポットが30KΩの時が、飽和の寸前なので、波形の上下の電圧値が非対称になっていることを発見しました。

更に、FFTして黄色線を観察して見ると、、、、

結果FFT(周波数分析)を見ると、黄色い条件で二次倍音が発生することが見えて来ました。

BOSS OD-1のように非対称クリッピングを行うと、二次倍音が発生することが知られています。またFUZZ Faceの初段でもバイアス電圧を極端に設定して非対称の増幅を行うことで、二次倍音を発生させています。

それ以上の領域に、完全な方形波になり実質非対称では無くっていますので、ちょうど黄色い線の状態(30KΩ)の時に二次倍音が発生しているということですね。

じゃぁ、その次にダイオードで上下をクリップした後にどうなるのか?ですが、確認してみます。

ハードクリップダイオードを追加してシミュレーションした時のFFTは下の図となりました。

このようにダイオードクリップしても、オペアンプの飽和領域で発生した非対称クリッピングの名残が残っているということが判りました。

つまり、オペアンプの飽和領域での動作がそのまま出音にも出て来るということが判りました。

ProCo RATのオペアンプを OP07 に差し替えると

次に、オペアンプをOP07にするとどうなるのでしょうか?
まずは、ダイオードクリップなしでシミュレーションしてみます。

すると、OP07はプラスマイナスの飽和電圧は、、、

  • +側 約3.5V
  • ー側 約3.5V

つまり、LM308はこの電圧が非対称だったのに対し、OP07は対象ということですね。

次に、これをFFTしてみます。

やはりDISTORTIONツマミ0〜MAXまで全ての状態で二次倍音は発生していません。

次に、ダイオードクリップを追加した状態でも勿論二次倍音は発生しません。

ProCo RATのオペアンプを OPA277 に差し替えてみましょう

次はOPA277をクリッピングダイオード無しでシミュレーションしてみます。

すると飽和する電圧は

  • +側 約3.4V
  • -側 約4.3V

となっていました。

LM308よりもプラス側が早目に飽和に達するようでその時のアンバランスが大きくなっていますね。

FFTで確認してみます。

DISTORTIONポットのポジションが30KΩの時が二次倍音がMAXとなり三次倍音と同レベルです。
そして二次倍音は80KΩあたりまで発生していますね。
更に、四次以上の偶数次倍音も綺麗に発生しているのが面白いです。

そして、クリッピングダイオードを追加した状態で確認してみます。

やはりクリッピングダイオードを付けた状態でシミュレーションしてもこの二次倍音、四次倍音がなどがしっかり残っていますね。

OP07と、OPA277ではオペアンプの飽和時の動作がかなり違いますので出音に影響が出て来る可能性が考えられます。

ProCo RATでオペアンプを交換した夏休み自由研究提出

ProCo RATの回路は同じで、オペアンプだけ差し替えた条件のシミュレーションで各オペアンプでは下記のような飽和電圧でした。

  • LM308
    • + 3.7V
    • - 4.3V
    • ±の電圧差 8V
  • OP07
    • + 3.5V
    • - 3.5V
    • ±の電圧差 7V
  • OPA277
    • + 3.4V
    • - 4.3V
    • ±の電圧差 7.7V

注)これはあくまでもシミュレーションでの話ですし、実際ののオペアンプは製造年次の違い、ロットの違い、セカンドソース品かもしれませんし、個体差もありそうです。
加えて周辺パーツの個体差(抵抗やポット)が影響を与える可能性もあるかもしれません。

それを踏まえて、あえて今回のシミュレーション結果のみで推測するとすれば、、、、

  • LM308
    • ダイナミックレンジが広く感じるかも。
  • OP07
    • コンプレッションが強く、ピッキングニュアンスによる表情の変化が少ないかも。
  • OPA277
    • スイートスポットをコントロール出来る人はニュアンス豊かに、逆に人よっては二次倍音がブーミーと感じるかも。

ただ、ツマミが12時以上ではいずれもオペアンプの飽和領域で動作しますので、その領域で使われる方にはあまり差は感じられないかもしれません。
また、FILTERは高域をカットするので、カット方向で使われるのがお好きな方は微妙な倍音の違いはFILTERで消されているかもしれません。

なので、ProCo RATクローン自作でオペアンプ交換して違いを確かめるには、DISTORTIONツマミ9時から12時で、FILTERはゼロで、更にアンプはドクリーンのセッティングでまずは勝負させてみるともしかしたら違いが判るかもしれませんし、解らないかもしれません(^^

私も実際の回路で確かめてみたいのですが、LM307は超レアのようですし、その他のオペアンプもオーディオ用では無いので普通のショップにあまり売っていなようで、AmazonやeBayモノはちょっと怪しい(^^など、言い訳しますが実物での確認ややってません、、、orzすいません。

※Morning Gloryではオペアンプ交換し、なんか違うようにも感じましたがその違いもう微妙過ぎて解らなくなったという思い出があります。

まぁ結局ですが、歪みエフェクターは単体ではなく他のペダルやアンプで歪ませていますし、他のペダルやアンプのイコライジングも様々、、、、なので演奏側は違いを感知しても、聞き側の方は区別の付かないくらいの領域で勝負しているのかもしれませんね、、、、宿題の結果が元も子もなくって申しわけありませんm(_._)m

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