Fender エリッククラプトンストラトの TBX回路をシミュレーションでお勉強


新しく組んでいるギターの回路をどうするかをいろいろ考えて勉強しているのですが、今回はFender TBX トーンコントロール回路について調べてみました。

実は初代のFender Eric Captonモデルを所有しており、TBXの動作的には理解していたつもりですが、今回シミュレーションしてみると更にその原理がよく解ってきました。

TBXトーン回路ってどうなってるの?

Fender が開発したTBXは“Treble Bass EXpander”の略語ということで多くのサイトが解説されていますが、一応どんなものかというと、ピックアップからOUTまでTBXは下の図のように接続されていると思います。

  • 1Mと250Kの2連ポットでセンタークリックがある
  • TBXが10(MAX)からセンター(目盛5)ではインピーダンスを変化させる回路となる
    • 1Mポットは0Ωから1MΩの可変抵抗、これが82KΩの抵抗とシリーズ接続されている。つまり82KΩ~1082KΩの可変抵抗として動作する。→ボリュームポットと並行に接続されている可変抵抗でインピーダンスを変化させるものである。
    • このとき250Kポットは切断される→トーン回路はキャンセルされる。
  • センター(目盛5)から0では通常のトーン回路となる
    • 1Mポットは0Ωとなり82Kの抵抗に直結されているので82Kで固定。
    • 250Kポットは0.022μFコンデンサにシリーズ接続されている通常のトーンコントロールなる。

ということで、センタークリック前後で別の回路に切り替わるようになっていますので、2つ別にシミュレーションします。

ボリュームMAXで、TBXのMAX(目盛10)からセンター(目盛5)の周波数特性をシミュレーション

ボリュームは緑枠でMAXに、TBXの10からセンタークリックまでは青枠のインピーダンスコントロール回路で82K~1082KΩに変化させます。

シミュレーション結果はこんな感じ。

このように高域共振のレベルのみが変化していますね。

前々回の記事で実験したように、ギターはボリュームをMAXで共振が発生し特定の周波数にピークが発生します。また250KΩのポットよりも500KΩのポットの方がその共振のピーク値が大きくなるということが判っていました。

そうなんです、TBXは共振のピーク値をコントロール出来る回路(というかただの並列可変抵抗)で、ある意味インピーダンス調整回路と言って良いかもしれません。

でボリュームとTBXの合成抵抗の最大値は203KΩになりますので、通常の250KΩのボリューム回路より小さい値になるので実は共振が少なくなります。しかしその代わりにトーン用のコンデンサを切断することでピークを強くして帳尻合わせしているのです。

その結果通常のストラトの250KΩボリュームとほぼ同じ強さの共振が発生することになります。

素晴らしく良く計算されていますね。

ボリュームMAXで、TBXのセンター(目盛5)から目盛0の周波数特性をシミュレーション

次に、TBXのセンタークリックから0までのシミュレーションですが、回路はこんな感じ。赤枠で囲んだ部分は通常のトーン回路、青枠は82Kの固定抵抗となり、緑枠のボリューム回路の抵抗の合成は最大61KΩとなります。

こちらがシミュレーション結果。

改めて説明することはありませんが、普通のハイカットのトーン回路の結果ですね。

ボリューム8でTBXはどうなるのか

さて前々回の記事ではボリュームを8にすると高域の共振が無くなるという結果でした。
よって共振のピーク値をコントロールするTBXの役割が薄れると予測できます。

なのでボリューム8でシミュレーションしてみました。

やはり、共振は無いので、TBXはほぼ効いていませんね。
ただ、若干トーンと同じようにハイカットコントロールとして動作していますので、TBXを下げると高域が減少することは変わりません。

次にボリューム8でTBXを5から0でシミュレーションしてみまそた。

これも通常のトーン回路ですが、ボリュームの合成抵抗としてインピーダンスが低くなっていますので全体的にややダークに変化します。

ここで、これも帳尻合わせするために、通常のストラトが0.047μFに対し、TBXでは0.022μFを用いて調整されていますね。よく計算されています。

Fender TBX回路まとめ

  • TBXのセンターから10は、ピックアップの高域共振の強さをコントロールする可変インピーダンス回路である。
    • ボリュームMAXとTBXもMAXで、通常のストラトの回路(250KΩポット+0.047μFトーン)とほぼ同じレベルの高域共振のピークが発生する。
    • TBXのセンタークリックで高域共振のピークが消滅する。
    • この共振調整効果はボリュームが8以上で有効である。
  • TBXのセンタークリックから0は通常のトーン回路とほぼ同じ動作である。

TBXトーン回路はハイパスでもローカット回路ではない

で、あまり他のサイトの記事について書くのは失礼かもしれませんが、特に日本でのブログ記事や、結構有名なギターショップのサイトを含めて、TBX回路を、ローカット回路、或いは、ハイパス回路の一種であると解説されています。

しかし、ハイパス&ローカット回路(前回の記事でシミュレーションした通りですが)とTBXは全く異なる原理であり、TBXトーンコントロール回路はインピーダンスを変化させることで高域の共振ピークをコントロールする回路ということが判りました。

TBXはピックアップとの相性があると思われます

ここでTBXの歴史を振り返ると、レースセンサーピックアップが搭載されていたクラプトンストラトに搭載された理由も解ってきました。

というのも、レースセンサーゴールドピックアップは、特に高域がキラキラしたサウンドで有名ですが、一方で高域が過剰であるという評価も多いです。

よってTBX回路はそのキラキラが過剰にならないようにコントロールする為に搭載されたと考えることができます。

そしてTBXを使う際に注意したいのは、ローカットでもハイパスでも無いので、元々ダークなトーンのピックアップをブライトにすることはできないということです。

よってTBXトーン回路と相性が良いのはレースセンサーやビンテージスタイルのキラキラサウンドのシングルコイルピックアップだと思います。
但しボリュームが8以上で有効になることを認識した上で使いこなす必要があるということですね。

スムーステーパー回路やハイパス回路についてはこちらの記事をご参照ください。

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