そうだRangeMasterを作ってみよう!LTspiceでシミュレートしてその意味を考えてみた


前回までの記事では、MoningGlory風のオーバードライブを自作(いや基板買ってきただけ)してたら大失敗したけど、やっと完成したらブースターが必要と思われ、、、、まで来ましたので、いよいよどのブースターをコピークローンさせるのかについて書きます。

まずはブースターペダルを分類してみた

ブースターというと音量をデカくするだけ、、、とおもわれがちですが、実際は様々なタイプのブースターが存在します。
なのでちょっと整理してみました。(実は制作した後に後付けでこの分類してますがw)

ゲイン(増幅率)に着目する以下のような種類の回路があると思います。

  • バッファ(インピーダンス変換のみ)
  • クリーン(歪ませないで)ブースト
  • 倍音を加えて(歪ませて)ブースト

また、フィルタに着目すると以下のような種類があると思います。

  • 音量のみブースト(フラットな周波数特性)
  • ハイパス(トレブル)ブースター
  • バンドパス(ミッド)ブースター

しかし、ギター用の単純なオーディオ回路として入出力にカップリングコンデンサを用いる限り必ずハイパスになりますので、実質フラットなブースターは無いと考えられます。

次に実際の回路構成から分類すると

  • トランス
  • 真空管
  • FET
  • トランジスタ
  • オペアンプ

となり、これらのブースター(バッファ)回路もネットを探すとすぐに発見することができます。その回路図や解説記事を読むとその特性や使い方を理解することができます。

真空管やゲルマニウムトランジスタを用いる回路は(歪みで)倍音を付加するという目的があるように思えます。
これらを単素子で使う場合、バイアス電圧によっては非対称クリッピング気味になり、その結果よく言われる二次倍音が出るということですね。

FETは入力インピーダンスが高くバッファに向いているようです。
更にオーバーゲインにして真空管っぽい歪みを出すことを狙ったブースターもあるようです。

シリコントランジスタによる増幅回路は基本の基本ということで、単一のブーストペダルは勿論、様々なペダルの内部回路で用いられています。

ブースターでオペアンプを使う理由は、通常のバッファ・ブースターではなく付加価値を追加する目的だと思います。
カタログではクリーンと謳っていても回路を見ると特定の周波数を狙ってコッソリ味付けをするペダルもありますね。
更に、ソフトクリップも簡単に付加できます。つまり歪みによる倍音も付加出来るということですが、最近流行りのトランスペアレント系オーバードライブ・ブースターは複数のダイオードを使うことで、歪むか歪まないかのギリギリのコンプレッションを行う回路になっていますね。

歴史的ブースターといえばDallas RangeMasterだよね

次にブースターの歴史を紐解くと、必ず出て来るのがDallas社が1960年代に発売したRangemaster になります。

The Rangemaster Treble Booster was first made in the 1960s by London company Dallas Musical Ltd., incorporated in 1959. It made guitars and amplifiers under different brand names, including Dallas, Shaftesbury, and Rangemaster. The Rangemaster’s engineer is unknown

Via: Wiki Pedia – Dallas Rangemaster Treble Booster

ブリディッシュサウンド、そして、ブライアンメイの独特の音色もこのRange Master或いは同等のトレブルブースターによるものということですね。

デジマートのオリジナルRange Masterのレビュー動画

British Pedal Companyが再生産しているようですね。

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The British Pedal Company / Vintage Series Rangemaster 【新宿店】
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Dallas RangeMasterの回路を観察

そしていつものELECTROSMASHに掲載されているRange Masterの回路をみて、私もLTspiceで回路図起こしてみました。

RangeMaster

トランジスタ1石による最も単純な、まるでトランジスタの動作原理をそのまま回路にしたようなものだということが判ります。

RngeMaster分析を見るとギター用のブースターとしてアレンジとしているのは2点

  • 入力のコンデンサの値を小さくして低域側をカットしている
  • ゲルマニウムトランジスタのバイアスをずらして歪むようにしている

一方でネットの記事では「Range Masterはある特定の周波数をブーストしている」とレビューされている記事が見つかります。
で回路的に見るとそのようなことはありません。
おそらくミッドハイがブーストされているように聞こえるのは、ローカットされ残りがフラットにブーストされているからだと思います。(高域に行くに従ってブーストされているわけでは無い)
加えて、当時使われていたパーツがオーディオ的にショボいので高域が劣化しているということもあるかと思いますが、、、、

こちらがELECTROSMASHが分析したRangeMasterの周波数特性ですが、3KHzあたりからそれ以下がバッサリ減衰されていますね。

しかしRange Masterがローカットブースターでは無くトレブルブースターという名前がつけられたのは、歪ませることで倍音成分が付加され煌びやかな音になっているからだと思われます。

シュミレートして見ると、FuzzFaceと同様に非対称なソフトクリッピングされていることが判りました。

RangeMaster

つまりRangeMasterの1石トランジスタ回路は、Fuzz Faceの初段トランジスタと同じ役割(非対称クリップ、ソフトクリップ)生み出しているということですね。

更にFFTすると面白い倍音成分が見れます。

RangeMaster FFT

FuzzFaceの前段トランジスタの非対称クリップ動作について前の記事を参考にして頂ければと思います。

理想FuzzFace回路にギター回路を追加してFuzzノブを0から10まで変化させてみた

Range Masterを歪ませる前のブースターとして使う意味

ということでRange Masterを他の歪みペダルの前に配置することで、まず非対称クリップで美しい倍音を付加した上で、更に深い歪みを作る為に音量をブーストして次のペダルに渡すという構成となると思います。

その結果、FuzzFaceのようなギター側のボリュームコントロールで、鈴鳴り、クランチ、ディストーションをコントロール出来る構成になることを目指したいと思いました。

ということで、このような理由(後付けの理由も含めて)話は長くなりましたが今回Range Masterを制作することにしました。

でも実は現実的な面からいえば、、、

  • FuzzFaceの制作で試していたゲルマトランジスタで電流増幅率hfeが低過ぎたものをちゃんと利用したい。
  • 回路がめちゃシンプルなので、MoningGloryと同じケースに収めるのにコンパクトに作ることができる
  • 部品点数が少ないのでハンドワイヤで作るのが楽
  • 部品点数が少ないのでお金がかからない

ということで、既に手持ちのゲルマニウムトランジスタがあるので早速作ってみたいと思います。

次の記事では具体的な回路の検討して見ました。

RangeMasterからのKeeley JavaBoostかFulltone Ranger寄りに、そしてマイナス電源対策も





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