最近RATの特性などをしらべまくっているわけですが、実際に音出しする時はアンプ部の特性との合算になることを意識する必要があると思います。
ただ私は代表的なアンプを全て所有しているわけではないので、TONEXのTONE Modelを利用して確認するようにします。
なのでまずはアンプの周波数特性を把握する必要があると思い、これまでも計測した記事をアップさせていただきました。
IK MultimediaのTONEX V2 Tone Modelを使うために
そしてIK Multimediaが更に進化したV2 Tone Modelをリリースし、そのモデルがハードを購入することで付属でるようできるTONEX ONE+を購入したわけです。

なので、今回はその進化したV2 TONEXモデルを計測してみました。
テスト方法
テストするTOENX V2 Tone Model

TONEモデルはTONEXアプリのSoftware LibralyでV2でフィルタリング、そしてリストされたTONE Modelの中からCleanのモデルを中心に適当にセレクションしました。
それらのTONE ModelをTONEX ONE+に格納して、通常のエフェクターと同じようにMOTSU M2経由で周波数特性を計測したものです。
まず最初に聴感的に聞き比べた結果、Luxury Clean – Fender Deluxe Reverbのモデルが素直な特性と感じましたので、これを今回の計測のリファレンスにしたいと思います。
計測は、キャビネットのActiveとBypassで計測します。

計測グラフのプロット線の色について
- 赤いプロット線 – CABINET Active = プリアンプ+パワーアンプの特性
- 一般的にパワーアンプの特性はフラットなので主にプリアンプの特性になるとおもいます。
- ただ、一部の計測結果はパワーアンプの特性が接続しているスピーカーの特性に引っ張られている傾向が見れます。ネガティブフィードバック回路やダンピングファクターの影響が出ているのかもしれません。
- 緑のプロット線 – CABINET Bypass = プリアンプ+パワーアンプ+スピーカー+キャビネット+マイク+マイクアンプの特性
- マイクの特性もフラットではないのですが、今回はキャビ側のIRモデルはそれほど重要ではないので無視することにします。
- 薄い赤のプロット線:リファレンスのLuxury Clean – Fender Deluxe Reverbアンプ特性です。
- 薄い緑のプロット線:リファレンスのLuxury Clean – Fender Deluxe Reverbのキャビ特性です。
リファレンス:Luxury Clean – Fender Deluxe Reverb
このトーンモデルがリファレンスになります。

アンプ部は400 Hzから6 KHzにかけて右肩上がり、7 Khz以上でハイカットになる特性ですね。
右肩上がりの周波数特性は位相が進む方向になりますので、高域に行くにしたがって時間軸的に出音が速くなるので、まさにギタリストが感じる「音が速い」という感覚になるのかもしれません。
CAB部は、フラットな特性のようですが、周波数特性は100 Hzから5 KHzが再生できるというギター用スピーカーとして標準的な特性を持っているようです。
ただ100 Hzあたりにキャビ共振の影響でしょうか?やや盛り上がっているのがデラリバの音として感じる部分なのかもしれません。
Fender編
Twin Twinning – Fender ’65 Twin Reverb Reissue
ここからの計測結果のグラフにはリファレンスのLuxury Clean – Fender Deluxe Reverbの特性を薄い線で入れていますので比較できるようにしました。

アンプ部は低域から超高域まで比較的フラットな特性です。
CAB部は70 Hzから200 Hz、2 KHzから5 KHzの2つの盛り上がりが観察できます。
デラリバに対して、高域のピークが強く、より低域の周波数が低く再生できるスピーカーのようですね。
低域と高域の両方にパンチを感じる特性のようです。
Twin Revebの音はCAB側の特性がサウンドキャラクターとして表れているようですね。
Time Less Classic – Fender ’65 Twin Reverb Reissue
これも続いて Fender ’65 Twin Reverb Reissueの計測です

アンプ部は前の同もでるよるわずかに高域側が出ています。トーンノブを調整したのかもしれません。
CAB部は前のモデルとほぼ同じ特性ですね。
Flawless Clean Deluxe – Fender ’57 Custom Deluxe

アンプ部は基本フラットで5 Khz以上で減衰がはじまるというギターアンプとしては無個性な特性ですね。80 Hz弱でピークが発生していますが、ローカット回路が入っているのでしょうか?
CAB部のスピーカもアンプと連動するように基本フラットで、高域があまり得意でない感じですね。
こちらもギターアンプ用としてはかなり無個性です。
Vibrating Crunch – Fender Vibroverb
今回の計測はCleanタイプのアンプを中心にしていますが、このアンプだけはClunchタイプを選択しました。V2で追加されたVivroverbに興味があったからです。
よってGAINを更に下げて出来るだけ歪まない領域で計測しています。

アンプ部はこれまでのアンプと違いかなり個性的な特性を示していますね。
低域側は250 Hzをブースト、高域側もブーストしている兆しがありますが、回路特性として追いついておらず結果歪んで再生できていないかもしれません。ただこういうのがギターアンプ回路なのかもしれませんが。
対してCAB部はあまり個性がありませんね。低域から中高域はデラリバのスピーカーに似ていますが、15 inchスピーカーなので4 KHz以上の再生はできないようです。ただアンプ部の特性もちょうどそのあたりでいきなり下がっていますので、お互い様という感じで逆に音のバランスとしては良いのかもしれません。
実際に耳で聞いた感じはかなり人間的な味わいのあるアンプサウンドでしたので計測してみましたが、やはりという感じです。
Powerful Clean – Fender Hot Rod Deluxe

アンプ部は5 KHzまで超フラットですね。
CAB部は2 KHzから5 KHzの効率に特化した典型的なギター用スピーカの周波数特性ですね。
デラリバと再生範囲が似ていますね。
米国で標準的な真空管アンプとして人気がある理由はこのように使い易い特性であるからかもしれませんね。
Marshall編
Pure Brit Pride – Marshall JCM800 / Johnson J412V

アンプ部は完全な右肩上がりの特性ですね。音が速い典型的なアンプということですね。
そして5 KHz以上はハイカットが入っているようです。おそらくギターアンプとしては超高域はカットした方が良いのでしょうね。
CAB部は5 KHzにかけてフラットですがそれ以上はデラリバのCABより出ていないようです。低域は100 Hzから400 Hzを豊かに増強している感じになるようです。
意外なのは4発でありながらデラリバよりやや低域の再生限界が高いということです。
これは Johnson J412Vキャビ特性のようで、後の別のモデルで考察してみたいと思います。
I’ts Clear To Me – Marshall JTM45 1965 Script Logo / Marshall 1960A

測定した時の音量が大きくなってしまっていますがTONEXのモデルは音量差が激しいのでご容赦ください。(比較は脳内スライドお願いしますw)
アンプ部は200 Hzの山があり、更に2 KHz以上をブーストしているようで結果その間の800 Hzに谷が出来ている特性です。所謂ドンシャリという感じでしょうか。
CAB部は定番の1960Aで、搭載されているスピーカーユニットはCelession G-12 75ということで、サウンドハウスの製品ページで周波数特性グラフを拾わせていただくとこんな感じ。

計測結果もユニットの周波数特性とほぼ同じ感じですね。
やはりマーシャルのスタックアンプはキャビのドンシャリ特性に合わせて、さらにアンプ部でそれを強調することでパンチがあるサウンドを生み出しているようですね。
VOX編
Thick Chime – VOX AC30 CC2

アンプ部はデラリバの特性に対して更に高域をブーストしているようです。
一方でCAB部はかなりフラットですが高域の4 KHz以上はデラリバよりもタイトになってます。
一方で100 Hz以下の低域はデラリバより低い周波数が出ているようです。
総合して使いやすい特性のアンプになっているのかもしれません。
Thine Chime – VOX AC30 CC2

結果、アンプ部はもうかなり高域側がブーストされてるのがわかります。
前のThick Chimeと同じ個体だと思いますがこの高域部の特性からするとTop Boostチャンネルでの周波数特性かもしれません。
対するCAB部はThick Chimeモデルと同じなのがわかります。同様にスピーカー側で4 KHz以上が再生できないので組み合せとしては意外に耳が痛くないのかもしれません。
Orange、HIWATT、Bogner、ENGL編
Rocker Drink – Orange Rockerverb MK1/Marshall 1960A

アンプ部は典型的はギターアンプのトーンスタック回路の特性が出ていますね。
CAB部もギターアンプ用として一般的な特性で、デラリバと同じように100 Hzから5 KHzという周波数特性ですね。
アンプもCABは1960Aということで、CELESSION G12 75の特性が出ているようですね。
Kingdom Breakup – Hiwatt DR103 / Johnson J412V

アンプ部はほんのわずかに右肩上がり、ギターアンプとして高域を塩梅よく出しているのがなんかいい感じですね。
CAB部は典型的なギター用スピーカーの特性ですね。
Johnson J412Vキャビですが調べてみると、Celestion Vintage 30 12-inchということでサウンドハウスのCelestion Vintage 30 ページで周波数特性を拾ってみました。

このようにユニットでの1 KHzから5 KHzの特性は計測したキャビにも反映されている感じですね。
一方で低域の盛り上がりはやはり4発キャビで発生している共振ということになると思います。
Hiwatt DR103は歪まないで大音量を出せるアンプということで、計測結果もフラットですのでスピーカーの特性を十分活かすように設計されているという感じでしょうか?
キャビ側の音を楽しむのにこのヘッドは良いかもしれませんね。
Dvine Clean – Bogner Shiba / Johnson J412V

こちらもアンプ部の周波数特性も少し右肩上がりなフラットな設計がさせているようです。
CAB部はこちらもJohnson J412Vですので、前のHIWATTのトーンモデルと似通っている特性ですね。
Clean Ride – ENGL Invader 100 / ENGL E412VSB

アンプ部はわずかに右肩上がりでこれも良い感じです。
CAB部の特性はENGL E412VSBのようで調べてみるとこれも Celestion Vintage 30が4発という構成で、HIWATTやBognerのヘッドに似ていますね。ただ低域側が更に出ていますね。
キャビネットの設計の違いということなのでしょうか?
Universal Audio アンシュミ編
Dumble Slow Waltz – Dumble ODS(UA Egnimatic) / Celestion G12-65
計測している時ほかのモデルとは違うグラフが得られたので、調べてみるとこのトーンモデルは、UA社のEgmimaticをTONEXのトーンモデルに取り込んだものでした。
ということでなかなかシュールなトーンモデルです。

アンプ部は典型的なFenderトーンスタック回路の特性を再現している感じですね。
アンシュミとして判りやすい特性にしたのでしょうかね。
CAB部はスムースなグラフですのでマイクで収録したものではないことが判ります。
面白いのは低域の再生限界お高域の再生限界もデラリバのCABとほぼ同じようです。
そしてデジタルキャビシュミということでしょうか低域側と高域側のフォールダウン特性がアンプ部の特性にばっちり合わさせている感じで、結果的にはこれぞギターアンプ!というのがこのUS Enigmaticの特性のようですね!
まとめ
ということで、今回は主にIK Multimedia社が準備した純正トーンモデルから最新のV2でキャプチャされたモデルの特性を確認してみました。
V1の状態でははっきり言ってIK Multimedia純正のトーンモデルはあまり魅力的なものがなく、TONENet経由でダウンロードしたものを使ってテストしてみましたが、いずれも個性がある特性でした。
それがV2になってIK MultimediaがリリースしているTONEモデルはいずれも素直なのでかなり使い易くなっているように感じました。
一応分類すると、、、
- アンプ部
- フラットな周波数特性なもの
- トーンスタック回路の周波数特性を出したもの
- それ以外の個性的な特性
- CAB部
- 比較的フラットな特性のもの
- ギター用スピーカーの特性が強く現れているもの
に分類できると思います。
ただ私の今回の計測の目的は、DAWでの録音用ではなく、スタジオでJC-120のリターン接続して自作したエフェクターのテスト用として使うのに的したアンプモデルを探すためなので、アンプ部の特性のみ参考にします。
そういう意味ではV2のモデルはギターアンプの特性をよく表しているのでエフェクターのテスト用としてV1よりかなり一貫性があるテストが出来るようになっていると思います。

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