RAT回路のお勉強 – JFET出力バッファ2N5458は重要かも

RATest基板で2N5458をテストする #ProCo #Rat
RATest基板で2N5458をテストする

RATはオペアンプで増幅した後にシリコンダイオードによるハードクリッピング回路として知らていますねされています。

ということでハードクリッピング回路についてChatGPTさんに聞いてみました。

まずハードクリッピング回路に関してChatGPTのご意見伺ってみる

エフェクターにおける**ハードクリッピング回路(Hard Clipping)とは、
信号の波形を一定の電圧以上で強制的に切り落とす(クリップする)歪み回路のことです。


基本的な考え方

ギター信号は本来なめらかな正弦波に近い形ですが、
ハードクリッピングでは、

「ここ以上の電圧は出させない」

という明確な天井を作ります。

その結果、波形の上下がバッサリ平らに削られた形になり、
強い倍音が発生します。


典型的な回路構成

もっとも一般的なのは次の形です。

オペアンプ + ダイオード

  • オペアンプで信号を増幅
  • 出力部分にダイオードをGNDに落とす
  • 一定電圧を超えるとダイオードが導通して信号をカット
      ┌─▶│─┐
信号─▶ OP AMP ── 出力
      └─│◀─┘

※ ダイオードは左右対称(±)に配置


音の特徴

ハードクリッピングのサウンドは次のような傾向があります。

  • 強い歪み
  • エッジが鋭い
  • 粗く、攻撃的
  • コンプレッション感が強い
  • ピッキングニュアンスはやや減る

👉 ロック・パンク・ハードロック向き


代表的なエフェクター

とても有名な例があります。

Pro Co RAT

  • 典型的なハードクリッピング
  • オペアンプ後段にダイオード
  • 太く荒々しい歪み

BOSS DS-1

  • ハード寄りのクリッピング
  • 高域が強く、ザクッとした音

ソフトクリッピングとの違い

よく比較されるので簡単に。

項目ハードクリッピングソフトクリッピング
波形バッサリ切れるなだらかに潰れる
荒い・攻撃的滑らか・自然
代表例RAT, DS-1Tube Screamer
倍音多い(高次)少なめ

ダイオードの種類で音は変わる

  • シリコン:シャープで歪みが強い
  • ゲルマニウム:柔らかくヴィンテージ感
  • LED:音量が大きく、レンジが広い

ハードクリッピング回路とは、まとめ

ハードクリッピング回路とは、

一定以上の信号を強制的に切り落とし、強烈な歪みを作る回路

であり、
RAT系・DS-1系のサウンドの核となる技術です。

以上ChatGPTの回答でした。

ここであえてRAT最終段のJFETバッファに着目してみる

ということでRATの歪でもクリッピングダイオードが重要ということが判りましたが、RATではクリッピングダイオードを安定動作させる為(トーン回路も)と思われるバッファ回路が付加されています。
そしてネットのブログなどではこのFETの使い方は設計上間違っていると指摘されている記事を目にすることがあります。

上の回路図のように2N5458いうNチャンネルJFETが使われていますが、FETのゲートにはバイアス電圧が与えられていません。

ちなみに、BOSSのペダルでは前段にFETバッファが使われていることが多いのですが(こちら)ちゃんと4.5Vのバイアス電圧が与えられていますね。

とは言ってもそもそも歪ませる回路ですので正しい回路/間違っている回路の判断はナンセンスだとおもいます。(個人的意見ですw)
なのでRATのバッファ回路はどのように動作しているのかを調べてみたいと思います。

まずは2N5458の特性を計測してみた

ということで、まずは手持ちの3種類の2N5458を計測してみました。

Id/Vgs特性の計測結果はこちら。

同じ2N5458なのに3つとも大きく特性が違いますね!

有識者の方であれば、これらの特性からRATのバッファ回路で何が起こるのかを判られるかとは思いますが、次に実際の回路でどのような波形を生成しているのかを調べてみます。

2N5458バッファのテスト回路

RATのテスト用基板RATestを下記の回路のように設定してみました。

  • 左上の赤丸
    • オペアンプの増幅率を11倍程度に抑える
    • オペアンプ増幅の周波数特性をフラットにする
  • 右下の赤丸
    • クリッピングダイオードを外す
    • トーン回路を外す

実際の基板はこちら

RATest基板で2N5458をテストする
RATest基板で2N5458をテストする

この回路に1KHzのサイン波を入力してみます。

2N5458 #1のオシロ波形

一見スムースなサイン波となっていて歪んでいないように見えます。

2N5458 #2のオシロ波形

波形の下側が歪み始めています。

2N5458 #3のオシロ波形

#2より更に波形の下側が歪んでいますね。

ということで、3つの特性の異なる2N5458で歪みの量が違いますね。
しかも非対称歪みが発生する場合があるようです。

3つの2N5458のFFT解析

次にそれぞれの2N5458で発生している倍音を見てみました。

オシロ波形でも判るのですが、歪み量は#1<#2<#3ということになります。
で更に注目したいのは#1のオシロ波形は一見綺麗に見えるのですが、それでも倍音が発生しているということ、つまりRATのJFETバッファ回路ではやはり多かれ少なかれ歪が加わってしまうということですね。

3つの2N5458の周波数特性への影響は?

一応ですが、周波数特性も調べてみました。
これは2N5458バッファ回路だけの周波数特性ではなくオペアンプのフィルタ回路も含めた全体の周波数特性ですのでご注意ください。

#1(赤線)と#2(黒線)はほぼ完全に重なっていますが、#3の2N5458だけゲインが少ないようで、波形の下側が飽和してしまったことで音量が下がってしまっているということですね。

とは言え、3種類の2N5458の周波数特性は同じと言えますので、FETの違いによる音色(EQ特性)への影響はないと思われます。

まとめ:RATの回路2N5458の選定も重要かも

RATでの最終段のJFET 2N5458は回路の安定動作の為のバッファであることは確実と思われますが、(おそらく)製造上数本の抵抗とプリントパターンの簡略化の為にこのような簡易的なバッファ回路が採用されたものと思われます。
ただ、そもそもがハードクリッピングのディストーションですのでバッファだけHi-Fiな回路にするのは無駄という合理的な判断は納得できるものでもあります。

しかし、結局このバッファ回路で非対称歪みが発生しているのも事実のようで2N5458の特性によって加わる倍音の量も変わってきます。

さらに#3のようにバッファ用として使うには適していない2N5458を付けてしまうと、バッファでもかなり歪んでしまう、また音量も上がりにくいペダルになります。

ということで#1のように歪みにくい2N5458の音が良いのか?あるい#3の2N5458のようにめっちゃ歪んでしまう2N5458の方が良いのか?これはもう実際に音を出してみるて、個人の好みの問題になってしまうのかもしれません。

続く。

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